小型無人ヘリコプタの自律制御技術
−小型センサ開発から自律飛行実現まで−
(2012.4.2掲載)
ファイバーナノテク
国際若手研究者育成拠点
鈴木 智 助教
近年、無人航空機技術が飛躍的な進化を遂げている。また、それらを防災・レスキュー任務に応用しようとする気運が高まりつつある。本発表では、小型無人航空機の1つである小型無人ヘリコプタの自律制御に関して、自律飛行実現に至るために必要となる要素技術を紹介する。
主に上空からの情報収集をキーワードとして、空撮、リモートセンシング、大規模構造物の点検作業などの平時の運用から、災害発生時の初期情報収集、レスキュー、山岳警備といった有事の際の運用に至るまで様々な任務への応用が期待される。
○空撮やリモートセンシング分野において開発した自律ヘリコプタを用いることができる。
○工場やダムなどの自動点検システムとして利用することができる。
○開発した制御技術(センサ、制御デバイス、制御ソフトウェア)は、ヘリコプタ以外の様々な対象の制御にも利用可能。
先の10年間において、コンピュータやセンサの小型化・高性能化にともない、小型無人航空機技術が飛躍的な進化を遂げている。 小型無人航空機は、有人航空機と比較して安全性と利便性に優れ、多様な状況下で有人航空機の代替として利用することが期待されている。実際、今般発生した福島第1原発事故においても、建屋内の観測任務に小型無人航空機が利用されたという実績をもつ。
このように、小型無人航空機へのニーズは日々高まっており、現在も世界中で数多くの研究開発が行われている。中でも特に、運用時のオペレータの負担軽減と効率化を目的として、小型無人航空機の自律制御に関する研究が最も盛んである。
以上を背景として、本研究グループではこれまでに数年にわたり小型無人航空機の1つである小型無人ヘリコプタの自律制御に関する研究を行っており、現在までに、片手で持ち運び可能な2kgの小型電動ヘリコプタ【図1】の自律飛行を独自の制御システムを構築することで実現している。
図1.小型電動ヘリコプタ
図2.小型姿勢センサ
小型ヘリコプタの自律制御は、大型ヘリコプタの自律制御と比較して極めて困難である。何故なら、小型である故に風外乱の影響を受けやすいということに加え、搭載可能重量の制限が厳しいため、自律制御に用いるセンサが著しく制限されてしまうためである。そのため、小型ヘリコプタの自律制御を実現するためには、小型なセンサを開発することからはじめなければならない。
本研究では、一般的な航空機の制御に必要な航法・誘導・(姿勢)制御という3つの流れに従い、「小型姿勢センサ【図2】の開発」、「INS/GPS複合航法システムの構築」、「3次元誘導アルゴリズムの構築」、「非線形適応姿勢制御系の設計」等、小型電動ヘリコプタの自律飛行【図3】実現に至るために必要となる要素技術の開発を行った。
図3.自律ホバリング飛行
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